白い歯をめざす
やや専門的な話になりますが、セラミックスによる治療はどうしても歯を削る量が多くなります。これはセラミック部分が入るためのすき間が一般的な金属の歯よりも大きい、つまり帽子を被るのに薄い金属の板でできたヘルメットを使うのか、太い毛糸の厚い帽子をかぶるのか、といった材料の差に起因するためです。既に歯の神経をなくしている場合や白い歯が入っている場合ではある程度削り込んであるために、あまり大きいトラブルにはなりません。しかし、どうしてもセラミックスを使う以上は削り込まないといけないのです。
ここで問題になるのは、まだ神経が残っている場合です。またまた専門的な内容ですが、歯の構造は表面を水晶とほぼ同じ硬さのエナメル質という組織で覆われていますが、内部まで全てエナメル質ではなく、エナメル質の下には象牙質という柔らかい組織があり、そのさらに内部に歯の神経が存在します。
エナメル質は硬いのでちょっと歯をぶつけたくらいでは神経にひびきません。しかし、その下の象牙質は顕微鏡でもわからないくらいの細かい穴が空いていて、その一つ一つが内部にある歯の神経の入り口近くまでつながっています。この穴は神経に刺激を伝える役目をしますので、エナメル質を削り取ってしまうと、象牙質の穴が露出して、穴から刺激が神経に届いて痛み信号となって認識されます。ですから、削る量が多くなるとそれだけ、しみたり痛んだりする危険性が高くなります。
ポーセレンラミネートベニア・ホワイトニング
一般的には時間が経てば痛みも引いていくことが多いのですが、そこは削っている量が多いセラミックス治療ですから、落ち着いてくるまで更に時間を要するときもあります。痛みが引かないと歯として機能回復が十分にできませんので、露出した象牙質の表面をコーティングしたり、また場合によってはやむを得ず神経を抜き取ってしまうこともあります。 このようなことがあるので、歯を削ることに対して抵抗を感じられる方がどうしても一定数おられるのは仕方のないことです。この場合、私達としてもどうにか削らなくて済む方法を模索します。
例えばポーセレラミネートベニア。これは、歯の表面のみわずかに削り取りその代わりにセラミックの薄い板を貼り付けるというものです。場合によっては、麻酔すらかけずに行います。すなわちエナメル質のみを削るということになりますし、さらに歯の側面や裏側は削りません。
以前に、脇から虫歯になってあちこちをちょっとずつ、何度も何度もプラスチックを詰め直したりしているにも関わらず、色調があっていなかったり変色が気になる方におすすめの治療法になります。

あるいは、ホワイトニング。日本人の歯の色は割と黄色みがかった白がいわゆる標準的なのですが、たまに幼い頃に服用した抗生物質の影響から歯が全体的にグレーがかったり青みがかっている方がおられます。そんな場合は、歯を削らずに漂白剤を使って時間をかけ歯の色あいを改善していきます。
ハリウッドセレブのような真っ白にはなりませんが、根気強く続けてさえいただければ徐々に青みやくすみが抜けて白い歯になっていきます。